大阪地方裁判所 昭和39年(わ)5363号 判決 1967年4月25日
被告人 小林朝長
主文
被告人を罰金三、〇〇〇円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予する。
本件公訴事実中住居侵入の点については、被告人は無罪。
理由
(罪となる事実)
被告人は、大阪市東区石町一丁目一七番地所在久住顔料製造株式会社大阪営業所に勤務し、かつ右営業所従業員七名をもつて組織された大阪久住顔料労働組合の執行委員長をしていた者であるが、かねて右組合から会社側に要求していた一律五、〇〇〇円賃金引上げ問題が解決せず、ついに昭和三九年四月二七日から出荷、配達、発送部門の無期限ストライキに入つたところ、会社側が翌二八日午前七時を期して右営業所の事業所閉鎖(いわゆるロツクアウト)の措置に出たことを知つて憤慨し、
第一、同日午前八時三〇分ごろ、右営業所裏出入口から室内に入つた直後、前かがみの姿勢で前進し、扉の正面に立つていた右会社本社化成課長代理八木竜夫(当時三二歳)の胸部に自己の頭部を突きあてて暴行し、
第二、同日同時刻ごろ、右営業所において、右組合書記長赤羽忠と共謀のうえ、右八木竜夫に対し、「出て行つてくれ」といいながら、こもごもその腕をつかんで引張り、あるいは手で背後から押し、もつて数人共同して暴行を加え、
第三、同日午前九時ごろ、右営業所において、右会社本社営業部長若林正一が右営業所の情勢につき東京本社の社長久住実に電話で報告しているのを認めるや、右赤羽忠と共謀のうえ「電話を切れ」といいながら、右若林正一に詰め寄り、同人が通話中の電話機のフツクスイツチを押して通話を中断させさらに同人が通話を続けようとして受話器を手にしたまま再びダイヤルをまわしかけるや、「電話をかけさせるな」といつて、再び右フツクスイツチを押し、かつ同人から受話器を奪い取り、よつて同人に右久住実との通話を断念するのやむなきに至らせ、もつて威力を用いて右会社の業務を妨害し、
第四、同日午前九時一〇分ごろ、右営業所において、右八木竜夫が右久住実と電話で連絡しているのを認めるや、右八木竜夫に対し「出て行つてくれ」「私物を持つて出て行け」などといつて退去を迫り、右赤羽忠と共同して、応接間の安楽椅子に坐り込んだ右八木竜夫の両腕を左右からとらえて立ち上らせ、背後から押して右営業所裏出入口へ向つている際、傍にいた右組合会計増田雅彦がこれに加勢し、ここに三名共謀のうえ、同人において前方から右八木竜夫の右手をとつて引張つたところ、被告人及び右赤羽忠が背後から押すのと相まつて右八木竜夫の右膝等をその場にあつた机または椅子に打ちつけさせ、さらに同人を右営業所の外へ押し出すなどの暴行を加え、よつて同人に治療二日間、全治約一週間を要する右膝関節打撲傷を負わせ
たものである。
(証拠の標目)<省略>
(弁護人らの主張に対する判断)
弁護人らは、本件ロツクアウトが違法であることを前提に、判示各所為は被告人らの就労する権利に対し八木竜夫、若林正一らにより加えられた違法な侵害行為を排除するために行われたものであるから、正当防衛等に該当し違法性を阻却すると主張し、また、判示第三の所為は若林正一らが本社に報告する前にロツクアウトの不当性及び就労請求についての組合員の見解を同人らに伝え、そのうえで報告してもらおうとしたのであつて、広い意味でのピケツトの平和的説得の場を確保するための若干の実力行使に該当し違法性を阻却するものというべきであると主張する。
なるほど、本件ロツクアウトが正当性を欠き違法と断ぜざるを得ないことは後記のとおりであり且つ判示各所為はそのような違法なロツクアウトに誘発され、これに対する抗議の目的で防衛的意図のもとになされたものと認めうるけれどもそれ以上に正当防衛の要件をみたし、その他違法性を阻却する事由があるものとは認められない。また、判示第三の所為についても前後の状況に照らし弁護人ら主張のような意図で行われたものとは認められず、違法性を阻却するに由ないので、弁護人らの右主張はいずれも採用できない。
(法令の適用)
被告人の判示第一の所為は刑法二〇八条、罰金等臨時措置法三条一項一号に、判示第二の所為は昭和三九年法律一一四号(暴力行為等処罰ニ関スル法律の一部を改正する法律)附則二号により同法による改正前の暴力行為等処罰ニ関スル法律一条一項、罰金等臨時措置法三条一項二号に、判示第三の所為は刑法六〇条、二三国条、二三三条、罰金等臨時措置法三条一項一号に、判示第四の所為は刑法六〇条、二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号に該当するところ、本件は会社側の不当なロツクアウトに対する抗議が争議行為に不慣れ且つ極めて微力な(僅か七名の組合員のみで他の指導も応援もないものである)ため周章狼狽のあまり行き過ぎたものと認められること、判示第四の微傷も被告人らの暴行による被害者がよろめいたはずみに生じたもので特に悪質とはいえないこと、ロツクアウトに至るまでの組合側の行動は正当な権利行使の枠を出ておらず、むしろ会社側の態度に誠意が欠けていたこと、本件後、被告人は会社から自宅待機命令を受け、続いて辞表の提出を迫られ、事実上解雇同様の形で退職させられていること、本件の共犯者が起訴されていないこと、その他諸般の事情を考慮し、所定刑中いずれも罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人を罰金三、〇〇〇円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項、罰金等臨時措置法六条を適用してこの裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項但書により被告人に負担させない。
(無罪部分の理由)
一、本件公訴事実中住居侵入の点の要旨は、
被告人は、赤羽忠ほか四名と共謀のうえ、昭和三九年四月二八日午前八時三〇分ごろ、判示久住顔料製造株式会社大阪営業所裏出入口より、右営業所建物内への立入禁止の掲示を無視し、かつ右会社本社化成課長代理八木竜夫、同本社営業所営業課長代理伊勝博国らの制止を排除して、右営業所内に故なく侵入した
というのである。
審理の結果によると、久住顔料製造株式会社が昭和三九年四月二八日午前七時から当分の間大阪久住顔料労働組合及びその組合員に対し右会社大阪営業所及び倉庫をロツクアウトし、あわせて右組合員の立入りを禁止する旨の掲示をしたこと、同日午前八時三〇分ごろ、被告人が、赤羽忠ほか右組合員四名とともに、右の掲示を知りながら、かつ右会社から右営業所の管理権を委任されていた本社化成課長代理八木竜夫及び本社営業所営業課長代理伊勝博国がロツクアウトを理由に口頭で制止するのを聞き入れずに、右営業所裏出入口から室内に立入つたことは明らかである。
二、弁護人らは、右ロツクアウトは違法なものであるから、会社側に組合員の立入りを禁止したり制止する権限はなく、被告人らの行為は住居侵入罪を構成しないと主張し、検察官はこれに反論するので、まず本件ロツクアウトが違法であるかどうかを判断する前提として一般的にロツクアウトの正当性の要件について考えてみる。
わが現行法上、労働者の争議権については憲法その他の法律にこれを保障する規定があるのに対し、使用者の争議権についてはこれを保障する明文の規定はない。ただ公共企業体以外の企業については労働関係調整法七条に、ロツクアウトを使用者の争議行為として認容する場合のあることを前提としたものと見られる規定があるにとどまる。そこで如何なる場合にロツクアウトができるのか(ロツクアウトの正当性)については議論の存するところである。
当裁判所はロツクアウトは使用者に許された無条件の争議行為ではなく、労働者の争議行為に対する対抗行為として当事者間の衡平上必要已むを得ない限度内で容認されるに過ぎないものと解する。けだし使用者に争議行為としてロツクアウトを無制限に許すことは、労働者に争議権を保障することにより、ようやく使用者と実質的に対等の地位に置かれた労働者の立場を崩壊させるからである。殊に(本件の場合のように)営業所を閉鎖することが目的ではたく、逆に正常営業をなすために、ロツクアウトにより争議労働者を排除し、そのまま代皆労働者により操業を継続しようとするものまで適法とする見解を採るときは当事者の実質的対等の立場は忽ち根底からくつがえり争議の勝負は明白となると云うよりも、労働者は争議の手段に訴えることが殆んど不可能となる虞れさえある。これは前記憲法の定めた労働者の争議権の保障を無意味にすることになる。このゆえに労働者の争議行為に対し使用者がロツクアウトを以て対抗しうるのは企業の存立を守るため緊急已むを得ない場合の外、少くとも労働者の争議行為により労使双方の負担する損失の均衡(当事者対等の取扱上より生ずる衡平)が失われて使用者側に不当に過重となるとき、換言すれば労働者の争議行為により使用者の蒙る損失が当該争議行為との開連において使用者の受忍すべき限界を超えるときに限り使用者はロツクアウトを以て労働者の争議行為に対抗できるものと解すべきである。
従つてかかる正当性の認められない場合には、そのロツクアウトは違法であつて無効のものである。
そこで、右基準によりロツクアウトの正、否を判断するにあたつては個々の争議行為毎に具体的な事情を検討する必要があり、単に無期限部分ストだからといつて、形式的、画一的にこれに対するロツクアウトが直ちに正当であるとなし得るものではない。
三、右のような観点から本件ロツクアウトが正当なものであつたかどうかについて判断する。
前掲証拠の標目記載の各証拠、並びに第八回公判準備手続調書中の証人西時男に対する当裁判所の尋問調書、証人川上親富の当公判廷における供述、角谷節子の検察官に対する供述調書、押収してある封書一通(昭和四〇年押第九四六号の五)、大学ノート一冊(同号の六)、メモ書一綴(同号の一五)、組合員名簿一冊(同号の一七)、手紙一通(同号の一八)、組合関係書類綴一冊(同号の一九)、スト通知書一通(同号の二一)を総合すると、次のような事実を認めることができる。
(一) 本件ロツクアウトに至るまでの経過
久住顔料製造株式会社(以下会社という)大阪営業所の従業員は昭和三八年一一月三〇日久住顔料製造労働組合(以下久住労組という)の結成に参加してその組合員となつたが、右組合が昭和三九年二月ごろから会社側に対し本給一律五、〇〇〇円プラス定期昇給の賃上げを要求して会社側と団体交渉を重ねていながら、大阪営業所の従業員(組合員)にはかることなく右要求を金三、七五〇円に減額した(これに対する会社回答は三、三〇〇円である)ことを知つて、執行部の態度にいたく不満をいだき、かつ日ごろ東京の右組合との連絡が十分とれないことに焦慮していた事情もあつたので、同年四月五日、右組合から脱退したうえ、被告人を中心に大阪営業所従業員七名(所長を除く)をもつて、大阪久住顔料労働組合(以下大阪久住労組という)を結成した。
大阪久住労組は、直ちにその旨を会社側に通知するとともに、一律五、〇〇〇円の賃上げを要求して同月九日に団体交渉を行うよう申入れたが、会社側は各種業務の調整を理由に後日連絡するまで待つように回答し、さらに同月一五日に団体交渉を行われたい旨の右組合の申入れに対しても、国税局の税務調査及び久住労組関係の東京地方労働委員会のあつせんに対する準備を理由に同様の回答をして来たので、組合側ではしびれを切らし、同月一四日付で「四月一八日までに団体交渉が持たれない場合には、四月二〇日午後一時から三時まで時限ストを行う」旨会社側に通告した。これに対し、会社側は社長夫人で取締役の久住祝子を大阪営業所へ派遣し、東京でならできる限り団体交渉に応じる用意のある旨を付記した定期昇給を含め金三、〇〇〇円賃上げの回答書を組合側に手渡した。しかし、これは前掲したとおり組合分裂前の同年三月一八日ごろすでに会社側が示していた金三、三〇〇円の線をも下廻つていたので、組合側は右回答を不満とし、団体交渉を促進させる目的を兼ね、予定どおり四月二〇日午後二時間の時限ストを実施した。
その後、組合側は同月二四日に団体交渉を行うよう申入れるとともに、もし応じなければ翌二五日に半日ストを行う旨通告し、その結果、同月二四日大阪営業所で会社側から若林営業部長出席のもとに第一回の団体交渉が行われたが、双方とも従来の主張を説明する程度で物別れに終つた。組合側は団体交渉が持たれたため翌二五日の半日ストを中止したものの、同月二七日以降部分ストを決行する態度は変えず、同月二三日付で会社側に通告したとおり、同月二七日始業時から出荷、配達、発送部門の無期限部分ストに突入した。
これに先立ち、右部分ストの通告を受けた会社側では同月二六日から社長宅において社長、上村総務部長、滝川弁護士らが大阪営業所のスト対策について協議し「ストに入つたばあい得意先に迷惑をかけるのを避けるためロツクアウトしたうえ、本社の若林営業部長、八木化成課長代理、伊藤営業課長代理のほか必要に応じて人員を派遣し、右営業所の営業活動を続ける」方針を決め、準備を進めていた。
組合側がストに入つた同月二七日、大阪市東区今橋旅館において、会社側から若林営業部長、八木化成課長代理出席のもとに第二回の団体交渉が開かれたが、会社側は金三、〇〇〇円の線を一歩も譲らず、組合側もその主張を譲らないため、再び物別れに終つた。その結果、会社側は最終的にロツクアウトすることを決意し、直ちに伊藤営業課長代理を大阪営業所へ派遣し、翌二八日午前七時ごろ、右三名により右営業所及び倉庫のロツクアウトの措置が講ぜられた。
(二) 本件ロツクアウト後の経過
右のロツクアウトにより大阪久住労組は全面ストに、切替えたものの、その動揺は大きく、同日午後組合側の求めにより開かれた第三回の団体交渉において、ロツクアウトを解除してくれればストを解除する旨会社側に申入れたが会社側は受付けようとしなかつた。
このようにしてストが続いているうち、被告人らは東京において会社側と交渉し、同年五月一日には再び久住労組に合併したうえ、四月六日金三、四〇〇円の賃上げで妥結した。
(三) ストの状況
大阪営業所は東京の本社で製造した有機、無機の顔料の販売業務を営んでおり、所長を除く従業員七名のうち、原則として被告人ほか二名が営業係として得意先廻りを、村木正生ほか一名が倉庫係として出荷、配達、発送部門を、女子二名が電話注文を受けて記帳するなど事務関係をそれぞれ担当していた。従つて、組合側としては、四月二七日以降の部分ストには出荷、配達、発送部門を担当する村木正生ほか一名が参加し、被告人ほか二名の営業係及び女子二名はストに参加せず執務する方針をとつており、現に部分ストが行われた二七日においても、外部からの電話による注文は受注簿に記入してスト解決後に納品する旨返答していた。
以上のとおり、ロツクアウトに至るまでの労使の折衝態度をみると、組合側にとくに非難されるべき行動は見当らず、正当な争議行為の枠を出ていないのに対し、会社側は組合の再三の団体交渉の申入れに応じようとせず、たまりかねた組合が時限ストを行うにいたつてようやく団体交渉に応じたのであるが、合理的な理由の認めがたい組合間の差別的賃上げ回答を出して譲ろうとせず、組合からストの予告を受けるや直ちに、組合員を排除して営業を続けるためのロツクアウトを準備するなど誠意のない態度に終始しているのである。
検察官は、出荷、配達、発送部門のストが大阪営業所の営業を事実上全面的に停止する結果となり、全面ストと等しく一日七〇万円位の売上高が得られなくなるとして本件ロツクアウトの正当性を主張するが、ストライキによつて売上高が減少することや得意先に迷惑をかけ、信用をそこなうことは、正常な業務の運営を阻害することを目的とするストライキの当然の結果であつて、問題はその損失によつて大阪営業所の存在を危くするおそれがあるか否か、あるいはその損失が本件争議行為との関連において会社の受忍すべき限界を超えるものであるか否かにある。たしかに本件ストが続けば、会社は相当多額の売上高及び得意先を失い、また部分ストであるため、事実上休業状態にありながら、スト不参加者に対しては賃金支払を免れないのであるが、組合側は一応無期限ストをうたつてはいるものの、客観的にみて、結成したばかりで争議の経験や財政的基盤の全くない、組合員僅か七名の労働組合が上部団体の支援も得ずに相当長期の争議に耐え抜くことはほとんど不可能というべく、この点は会社側としても十分予測し得たところであるし、なんといつてもロツクアウトまでに部分ストが行われたのは僅か一日に過ぎず、しかもその間営業係はスト解決の際に備えて注文を受けているので会社の損失はいまだ深刻化しておらず(会社の信用失墜の点についても結果的には同年五月五日までのストにより小さな得意先を一軒失つたに過ぎない)、他方、前述した大阪久住労組の実力及び争議の経過からして、会社側が従来の態度を改めて団体交渉に誠意をつくせば早急にストを解決させる余地は十分あつたと推測できること、年間売上高四億円にのぼる会社の経済力等をあわせ考えると、本件ロツクアウト当時、右部分ストによつて大阪営業所の営業基盤が危くなるような危険が存在していたとは到底認めることができないし、また右部分ストが会社側にその受忍すべき限度を超える過重な損失を負担させようとしていたとも認められない。
このように考えると、本件ロツクアウトは正当性の要件を欠き、違法、無効なものと断ぜざるをえない。
四、もつとも、検察官は仮りにロツクアウトが違法なものであつたとしても、それが直ちに住居侵入罪の成否に影響するものではなく、本件については住居侵入罪が成立すると主張する。
なるほど、ロツクアウトが違法であつても、会社側において他に組合員の立入りを拒むことができる正当な理由がある場合が考えられ、そのような場合には会社側の意思に反して立入れば住居侵入罪が成立する。しかし本件においては会社側にロツクアウト以外に組合員の立入りを拒む正当な理由はなかつたのであり、また、結果的には立入り直後に判示のような暴力行為が生じているけれども、斯様な暴行をすること自体を目的として立入つたものとは認められない。
このようにロツクアウトが違法無効である以上、大阪営業所の従業員である被告人らが右営業所の建物内に立入ることは正当な権限に基くものであり、これをもつて違法視すべき筋合ではないといわなければならない。
従つて、本件公訴事実中住居侵入の点は罪とならないので刑事訴訟法三三六条により被告人に対し主文第四項記載のとおり無罪の言渡をする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 吉益清 梶田英雄 安井正弘)